須田 謙太郎 KENTARO SUDA(日本/ネパール)
1985年生まれ。三重県出身のファッションデザイナー。インド、ネパールの布と手仕事に魅了され、27才の時に「mahatma」を立ち上げる。「mahatma」はネパール・ヒマラヤ山脈の麓で、ネパールの職人さんたちによって昔ながらの手仕事で作られる 着心地・デザイン・素材を重視したブランド。年に5か月ほどインド、ネパールを旅して洋服づくりを4年続けている。
―ブランドをはじめるに至った経緯を教えて下さい。
服飾の専門学校を卒業してからずっと旅をしてたんですが特に中国、ラオス、ベトナム、ミャンマー、タイ、ネパール、インドなどの東南アジア、アジアの国々で布に魅了されてその布で服を作りたいと思ったのがきっかけですね。
―旅の途中で運命的に魅力的な「布」という素材に出会ったのですね。元々服飾の学校出身だから意外とスムーズに今のブランドを立ち上げられたのではないですか?
そうでもないんですよ。元々スタイリスト科卒業ということもありましたし、僕もいろいろやりたい人間なんで、その旅の後は飲食で2、3年働いてました。それが23~25歳くらいの時で、でもやっぱり洋服に関わる仕事が頭から離れなくて飲食をやめて旅に出て・・・それからですね。
―なるほど、違う仕事もしていたわけですね。服を作る場合、通常は大量生産だと中国とかで合理的に作るのがやっぱりコストを抑えられるんですよね?
いや、僕は特にネパールやインドの布に魅了されて、現地で作ることに意味があると考えていたんです。古くからの手仕事によって愛やぬくもりを伝えたい。だから、コットン一つにしても手紡ぎ、手織りのものを使うのがこだわりなんです。でも現地のクオリティも怪しいので自分の納得いく工房に出会うまで3,4年かかりました。今の工房も何度も足を運んで5回位しつこく頼み込んでやっとOKもらって今に至ります。
―まず利益ありきではなく、きちんとした芯があってのブランド運営なんですね!その愛とかぬくもりを伝えたいって思う理由は何ですか?
今の世の中、さっきおっしゃられたような中国とかで大量生産するような合理的なやりかたが主流となってますが、手紡ぎ・手織りの布の方が非効率的だけど理にはかなっていると思うんです。そういった世の中の「真理」みたいなのを伝えていけたらなと願って、ブランド名を尊敬するマハトマ・ガンジーの名前からつけさせてもらったんです。マハトマとは「偉大な魂」という意味です。
―そんな深い意味があったんですね~、とても素敵なコンセプトです!現在はインド・ネパールが主な生産拠点ということですがネパールに行ってみて気づいたことってありますか?
ネパールは親日で人がめっちゃやさしいんですよ。自然がたくさんあって、東京での生活と比べてみると、より人間らしい生活を送れる場所だなと感じました。インド・ネパールには年に二回、4,5ヶ月は滞在してますが彼らのために何か恩返しがしたい気持ちになってきましたね。
―恩返しを考えておられるとのことですが、自分のことで今後の目標というかやりたいことは他に何かありますか?
今は衣食住の衣ですが、今後は食住にも関わっていきたい。次はネパールでたこ焼きBARを始めたいですね。現地の人を雇っていずれは彼らにノウハウを提供して譲りたい。そうやって彼らに日本のいい文化を紹介してたくさんの笑顔が見たいんです。あ、やっぱり恩返しにつながってしまいますね・・・
―須田さんのように外国であっても思い切って行ってみて現地で行動することってすごく大事だと思いますが、スマホやPCをいじって大量の情報を得てはもんもんと頭で考えてばかりしてしまっている若者にアドバイスするとすれば何がありますか?
そうですね~、「頭であれこれ考える前に行動してから考える」ってことかな。僕自身がまず先に考えられない人間でしたから(笑)。そして口癖は「僕は僕のままで。君は君のままで」(笑)素直に自分の声を聞くことが大事ですね。
僕はいろんな国のいろんな立場の人たちと出会い、話し、時には生活を共にすることで自分が当たり前に思っていた価値観を覆されるような体験を何度もしてきたおかげでだんだんとフラットな状態になって自分固有のアイデンティティーに気づいていったんです。そういったことから自分のことをよく知ることは自分と他人の区別ができて、自分独自の行動ができるようになると思ったんです。
だから、若いうちに思い切っていろんな経験をして、そうバーチャル体験ではなくてリアルな体験をして、自分にしかできないことを見つけて直感的に生きれるようになってほしいと思います。
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